文章は下品だけどエロはありませんよ。
80年代漫画の世界の中でいわゆるロ◯漫画ブームというのがあったが、その流れはコミックマーケット、少年まんがブーム(ジャンプ数百万部の時代)急増した同人誌の流れなどをベースにあくまでいままでのアダルト劇画のパロディとしての小さい等身のキャラクターを利用したマンガのブームが起こる。一見それは当時規制されていなかった「それ」を表現するためではなく、文脈としての美少女キャラクターブームであったといってもよくて漫画の中の女の子キャラクターを愛でるということが理由であり、飽きた人たちは急速に解散していったことでもそれが一過性であったことがよくわかる。その舞台を利用して大塚英志が「漫画ブリッコ」という雑誌を展開し、ロ◯漫画のふりをしながら女の子漫画という女流作家ブームを内包してひとつの世界を作っていた。そのスタッフである緒方氏が途中で分派して作った女の子マンガ雑誌「アリスくらぶ」(84年ころ)。一見ロ◯漫画のように見えるが、それらの作家は使いつつも、エロはない一般コミック雑誌。桜沢エリカや岡崎京子もあとにお洒落な漫画として女の子に支持され、予算のある雑誌で書くようになっていくが、元はそちらの世界の人で、あくまで舞台として建前のロ◯であり、そこから多くの作家が育っていったのだが、この号の表紙なんかはいまでもまだ一般コミック世界では活躍をしている藤原カムイが書いている。
目次はまだ元気だったころの岡崎京子が適当に書いているが、適当感が同人誌的な商業誌。
対面の漫画は当時有名ではあったMEIMUが書いている
一応エロはなく一般紙という建前がたっているので、声優の富永みーなが取材に応じたりもしている。
表3には当時漫画ブリッコで「おたく」を最初に言ったと主張している中森明夫一派の「東京おとなクラブ」というアイドルミニコミの松本伊代キャプチャコラムとそれの戸川純増刊、PRESSのパブが。PRESSは戸川愛にあふれていて面白い本だった。
自社広告は酷いのでモザイクをかけておくが、80年代らしい需要がまったく関係ない特集。なんのためにやっているのだろうか。他、ヘイバディ(実写系ロ◯写真雑誌)、ぱふ(まんが情報誌)、マンガハウス(さくまあきらがやっていて漫画専門店のみで販売されていた漫画家養成同人風商業誌)などの広告が出ている。たぶん雑誌業界がもっと中央にあった頃によく相互広告として使われた手段、いわゆる交換広告といわれるバータータダ広告ではないかと思われるが、一般漫画情報誌のぱふが参加するという時点で、当時の漫画業界のある程度のメインストリームであったことと、横のつながりを考えさせられる。
コメント欄。群雄社はVIPというAV会社の系列出版社で、既に群雄社無いから載せちゃうけど、80年代文章テイストが随所に見られる。ちなみに形の上では途中からアリスくらぶ社という法人の発行になってるけど実態はあったのかどうかすら不明(特に単行本展開されるでもなく急に終了してしまうため)。この雑誌は半年強しかなかったので。でも確か後に、休刊あたりの頃に、藤原カムイで赤青の3Dコミックをやったのはスゴかった。あんまり評価されてないけど。
これもなかなかマイナー雑誌過ぎて捨てられなかったのだが写真を撮って捨てた。