中森明夫がプロになって黒幕を名乗ってからの仕事は何一つ評価していないのだが、エンドウユイチとかと東京おとなクラブを出していた頃はなんとなく評価する。いわゆる大学生によるアイドルミニコミの類がはやっていた頃であったが、そのシリーズの中でもPRESSという、別枠増刊の1号目は完成度の高く、しばらく大事に持っていた。基本的に「玉姫様」が全盛、TOTOの「おしりだって洗ってほしい」のCMとかでブレイクしていたの頃の戸川純を特集した1冊。造本、紙、組版(活字風の字体)ともよく考えられていた(急に2ページだけ蛍光グリーン×黒の2色刷が現れたりしてね)。インタビューではジョン・ライドンの頭の悪さに親しみを感じるとか、好きな異性は尊敬できる人とか(うひゃ僕と同じだ…)、戸川純伝説では伝記風にやっているのがよい。そういえば、大塚英志も漫画ブリッコの後の「いけないCOMIC」という雑誌でなんか戸川純特集とかやってたりしてました。あの世代にはかなり大きい存在だったのかもしれない。
 なんか他のページも、価値はゼロに近いんだけど時代がそのまんま出てるのですよね。
巻頭は当時スキゾとかパラノとかよくわからないことをはやらせていた浅田彰がフライングパイレーツに乗るというだけの企画。編集者が、くだらない遊具についてこむづかしく語ってもらいたいという意図で頼んだのはわからないでもないのだが、同人的になってしまっていてつまらなく、ステキにゲンキなワルガキ、みたいなカタカナキャッチの応酬が気持ち悪い。巻中には新人類カタログ。原宿ピテカントロプスに集まった20歳以上お断りパーティの取材、渋谷のレンタルルームガイド(上から見た図もついている)、ぴあ批判、御茶ノ水特集、桃太郎海の神兵(戦時中のアニメ)、丸井テクノ館、…
ちょっと前に逮捕で有名になったジャンキーライター・石丸元章は「花ホテル」の気持ち悪さに関して寄稿しているし、今ではホストになってしまった宅八郎氏が、ライターデビュー前に矢野守啓名義で「COOL MUSIC」WATER MELONのススメなど、まったく今とは似ても似つかない普通の音楽に関する文章を書いてるのもあれですね。
巻末では日ペンの美子ちゃんの疑惑が載っていた。南原志保(兵庫県)はときどき森田由美(横浜市)に名前が変わったり、最初日ペンの歴史は25年だったのが、いつのまにか1年に5年くらい増えて55年になっているとか書いてあります。
そして、巻末には藤原カムイが。ロリ雑誌から出てきて、この時期のニューウェーブ漫画としてはもてはやされた人だけど(まんがの森の看板、数年前まであったのが懐かしい)、未だ少年誌で活躍してるんだから恐れ入るよなぁ。
中森がいうような巻末言にあるような60年代同世代感覚っていうのは、60年代後半生まれの僕らには無かった。世代として、ベビーブームとひのえうまがあったためか年度によっての断絶はすさまじい。
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